30 Apr 2010
夫はバイトの帰り、ちょっとヤバそうな車に追突した。
こんなにバイトをしているのは生活費を稼ぐため。
私は働ける体なのに、夫に甘えていたんだ。
私は再就職を考えた。だが、一から構築する人間関係は、まだ自分にはできない。
幸いにも昔の職場で友人がおり、時々コンタクトも取っていたので、募集をかけていないか聞いてみた。
その結果、今でもその職場で働いている。
夫はそれから2か所ほど転職したが、バイトの回数は減らなかった。
すれ違いの多い生活は、気持が冷えてくる。
バイトに明け暮れ、私との時間を持とうとしない夫に、だんだん愛情は感じなくなってきていた。
変則勤務のため、わざわざ日曜に希望休を出しても、夫にはまったく無視された。
いつからか夫のいない生活の方が寛げる、そんな気持ちになっていた。
何度も計画をキャンセルされ、これでキャンセルされたら別居しようとまで思っていた。
最後のチャンスだった計画は、無事に遂行されたけれど、私の気持の冷えは戻らない。
その頃のことを夫は、私が非常に冷たく感じられたと言っていた。
その年も終りに近づくころ、夫は自分の車を手放した。
使わなくなったのと、メンテナンスに費用がかかることが理由だった。
ただその車は、私と夫が出会った年に買ったもので、思い出の詰まった車。
業者が取りに来て、その車のテールランプが角に消えるまで、夫とふたりで見送った。
冷たい風が吹く夜、夫は私を後ろから抱き締めた。そして言った。
「ごめん、寂しい思いをさせたね・・。みんな俺が悪いんだ、ごめん」
少し声が震えていたように思う。その一言で、少し気持ちが融けたような気がした。
やがて新年度から、夫はバイトの回数を週1回に減らした。
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